生酛造りとは
日本酒を発酵させるためには、酵母(こうぼ)というアルコール発酵を司る微生物が大量に必要です。
しかし日本酒を造る酵母は弱く、普通の状態の米や水の中では、他のバクテリアなどの雑菌に負けてしまいます。
一言で言うと、乳酸の酸性環境で、酵母を雑菌から守りながら増殖させる。これが 酒母(酛/もと) です。
その酒母の乳酸環境の作り方が、生酛造り と 速醸の大きな違いです。
① 仕込温度は生酛が低く、速醸は酵母の増殖に勢いが必要なので仕込温度は高い。
② 生酛の最初は中性から始まり、速醸は酸性から始まる。
③ 生酛は酵母が添加されるまえに雑菌が淘汰される(無菌状態)が、速醸は野生酵母などいろんな菌が混在しているので酵母純度は生酛の方が高い。
生酛造りと速醸の作り方イメージは下記をご覧ください。

| 生酛 | 速醸 | |
|---|---|---|
| 酒母ができるまでの期間 | 1か月程度 | 2週間程度 |
| 乳酸環境の作り方 | 天然の乳酸菌を育て、乳酸濃度が十分高まったところで酵母を加える。 | 最初に乳酸を人工的に添加する。 |
ではなぜ手間と時間がかかる生酛造りにこだわるのか?
それは酒の品質と個性を追求するからにほかなりません。
よく、生酛のお酒は複雑かつ深い味わいになると言われていますが、その通りで、
乳酸菌が育つ仮定でも実は様々な菌が育っては移り変わり、その過程で多様な香り成分や旨味成分が生まれるため、深い味わいが作られます。
それ以外にもあまり知られていない下記のような特徴とメリットがあります。
特徴➀ 速醸に対して酵母のアルコール耐性が高い
→酵母は糖分をアルコールに変換する酒造り工程の主役になりますが、“菌”ですのでアルコール濃度が高まり一般的には15%を超えてくるあたりから死滅する割合が多くなります。一方で、生酛で育まれた酵母はより高濃度まで耐えることができます。
メリット➀ 酵母死骸起因の雑味が少ない
仕込み後半はアルコール濃度が高くなり、酵母にとって厳しい環境になります。酵母が自分で生成したアルコールで死滅すると、酵母の死骸が雑味成分になります。
しかし酵母純度が高い生酛で育った酵母はアルコール耐性が高いため、速醸より雑味発生比率が少なく、後味のキレイな酒になりやすいです。
特徴② 速醸に対して酵母の低温活動性が高い
→一般的に低温で仕込むほうが雑味を抑えられるとされていますが、低温になると酵母の活動も弱まってしまいます。しかし、生酛で育った酵母は3℃でも元気に活動できます。
メリット② 雑味の少ない辛口の酒が得意
生酛で育まれた酵母は低温かつ高ALC濃度でも生酛酵母が活動しますので、低温で長期間仕込みを引っ張れます。すると、糖分からALCへの変換率が高まり、(これを完全発酵と呼ぶ酒蔵もある)雑味の少ないかつ味わいのある辛口酒を造ることができます。
これが、当社代表商品“魔斬”が唯一無二の味わいの秘訣です。
特徴③ 速醸に対して酵母の耐酸化性が高い
メリット③ 経験的に品質が長続きする。
これら特徴とメリットが酒の品質に与える影響、個性に与える影響は非常に大きく、従って我々はこれまでもこれからも“生酛造り”にこだわってまいります。
